※ 本稿は、2026年2月の高市早苗首相就任以降の公式記録(首相官邸、衆議院予算委員会、G7会議、成長戦略会議等)および両報道・分析を統合し、トランプ政権のイラン攻撃(ホルムズ海峡封鎖含む)とBRICS圏の再編を背景に、日本と世界が直面する現実を包括的に分析する。人道的・地政学的観点から、可能な限り偏りのない事実ベースの検証を試みる。
2026年2月18日、第221特別国会において高市早苗氏は第105代内閣総理大臣に正式選出され、第2次高市内閣が発足。自民党は衆院選で316議席を獲得し、日本維新の会との連立を継続。高市首相は「責任ある積極財政」と「防衛力抜本強化」を政策の二本柱とし、安倍晋三元首相の路線を最も忠実に継承する姿勢を明確にしている。
2月28日、米国・イスラエルによるイラン攻撃開始を受け、高市首相は即座に国家安全保障会議を招集。在留邦人保護、海空路の安全確認、経済影響評価を指示し、「現時点で邦人被害の情報はない」と発表した。3月2日の衆院予算委員会では、攻撃の国際法適合性について「詳細情報を持ち合わせず、法的評価は差し控える」と答弁。イランの核開発は「許されない」と述べる一方、米国・イラン間の協議を「強く支持する」とし、直接的批判を回避した。
しかし、UN、IAEA、米国軍部・諜報機関はイランの核兵器開発を完全否定している。
3月10日の成長戦略会議では、官民投資17分野の優先リストを策定。半導体売上目標を2030年15兆円、2040年40兆円に設定し、防衛関連技術の調達拡大を明示。3月12日、予算委員会でホルムズ海峡の機雷除去について「自衛隊の事前展開は武力行使に該当する可能性があり想定できない。遺棄機雷の除去は別」と述べ、直接軍事介入に明確な歯止めをかけた。3月11日のG7オンライン会議では中東早期沈静化と外交努力を訴え、具体的軍事支援には言及しなかった。
これらは「米国追従」ではなく「米国を活用して日本を自律強化する」発想に基づく。
トランプ大統領のイラン攻撃、学校爆撃、ネタニヤフ政権の行動に対し、高市首相は「テロとの戦い」「国家存亡」との米国の主張を暗黙裡に容認する立場。ガザ・ウクライナ問題で人道を前面に押し出した発言は皆無に等しく、徹底した現実主義(リアリズム)を貫く。これは「モラルゼロ」ではなく「国家生存優先」の選択であり、日本の国益を最優先する結果、人道的配慮は後景化する。
日本は石油の90%以上を中東に依存。ホルムズ海峡封鎖が長期化すれば、原油価格の高騰を通じて産業基盤が壊滅的打撃を受ける。高市政権は石油備蓄放出と同時に、ロシア・ブラジルなど非中東ルートからの代替調達を緊急検討。成長戦略会議で半導体・防衛産業への国内投資を加速させる方針だが、短期的な需給逼迫は避けられない。
高市首相は台湾有事を「日本の有事」と明言。トランプ政権の対中強硬姿勢がエスカレートすれば、日本が最前線で巻き込まれる危険性が飛躍的に高まる。集団的自衛権の解釈拡大により、自衛隊の「後方支援」が実質的な戦闘参加と見なされる事態も想定される。
防衛強化・経済安保法の拡大は、反対意見を「非国民」と見なす風潮を助長するリスクを内包する。情報保全の名目で言論統制や監視強化が進めば、民主主義の基盤が損なわれる可能性がある。高市首相自身は「強い日本」を標榜するが、その裏面で多様性が圧迫される危険をはらむ。
イラン攻撃によりホルムズ海峡が事実上封鎖され、OPEC原油の流出が滞る中、BRICS諸国(特に中国・インド)はロシア・イランからの供給強化で対応。ブラジルは肥料輸入の80%を中東に依存するが、ロシア産肥料へのシフトを加速。アフリカ・南米諸国では肥料不足による食料危機が目前に迫り、BRICS主導の「食料・エネルギー・ルート」が旧来の米国主導秩序を代替し始めている。注:インドはBRICSから外されるかもしれない。
米国はドルを武器化し、制裁を強化したが、これがかえってBRICS諸国による脱ドル決済の加速を招いた。イランは対中石油取引を完全に人民元・ルーブル決済にシフト。サウジアラビアなど湾岸諸国も米国債の売却を進め、新たな「多極的準備通貨システム」の構築が現実味を帯びる。国連機能不全が露呈する中、BRICS主導の新国際機関(開発銀行・決済システム・安全保障対話)が事実上の代替フォーラムとして台頭する可能性が高い。
イランは「米軍撤退」を最終目標に掲げ、バーレーン・クウェートの米軍基地を攻撃。これに対し、現地住民の間では「米軍駐留=標的になる」との認識が拡大。バーレーン国王がサウジに亡命する事態は、君主制そのものの正統性を揺るがす。もし各国で「石油国有化・米軍撤退・複数国への石油分散売却」を掲げる政治運動が成功すれば、1953年イラン(モサデク政権)と同様の変革が連鎖する可能性がある。
高市政権下で日本は「軍事的に強く、経済的自立を急ぐ国」へと変貌する。しかし同時に、人道的配慮が著しく後退し、「力の論理」に染まる可能性が極めて高い。トランプ・ネタニヤフの行動を「必要悪」と見なし、米国追従の延長線上で日本自身も地域紛争に巻き込まれる――これが最も現実的な未来図である。台湾有事や中東有事で「集団的自衛権」が発動されれば、日本は戦後レジームから完全に離脱する。
高市早苗政権は、2026年2月の誕生以来、一貫して「現実主義・国益優先・米国との協調による自主防衛強化」の路線を歩んでいる。イラン攻撃という深刻な国際危機に対し、直接軍事介入は否定するものの、米国の行動への批判は徹底的に回避し、事実上の容認姿勢を取る。この態度は、日本の安全保障を最優先するがゆえの冷徹な選択である。
一方、世界はこの危機を契機にBRICSを中心とする新たな経済・安全保障秩序へと急速にシフトしている。石油・金融・食料のルートは多極化し、ドル支配は揺らぎ始めた。日本はこの流れに対し、伝統的な米国寄りの立場を維持しながらも、エネルギー源の分散や対中関係の再定義を迫られるだろう。